物件の表示基準の話(一般の方が理解出来る内容を表示しましょうという目的)
不動産の広告を出す際は、不動産の表示に関する公正競争規約や宅地建物取引業法、景品表示法といったものを守って広告を出す必要があります。その中で「取引態様の明示」や「誇大広告の禁止」などのルールが定められ決まっています。
そして、物件の情報を表示する為には表示基準というものが設けられています。これは、一般の消費者(お客様)でも簡単に理解できる表示を行う事を目的としているものです。インターネットに掲載している物件情報で、これらの項目を気にしてみるとまた違った見え方になるかもしれません。以下は、一部ではあるのですが表示方法についての解説となります。ちなみに、ポータルサイトのCHINTAIより抜粋・引用しています。
【取引態様】
売主や貸主、代理、媒介などはこれらの用語を使って表示する事。媒介(ばいかい)とは、その物件は、情報を発信している不動産会社が仲介する立場にある事を意味しています。
【物件の所在地】
都道府県、郡、市区町村、字及び地番を表示すること。(物件によっては地番を除くことが出来るとされています)
【交通の情報、利便性】
最寄り駅もしくは最寄りの停留所の名称や徒歩での所要時間を表示すること。(時間は80ⅿまでを徒歩1分と換算して計算しています)駅は主に電車の駅の情報を記載します。地域的に電車利用が困難な場合、バス停までの距離や、電車の駅やバス停まで車で〇分と表示する事があります。以前は、建物の敷地の角までで良かったのですが規定が変わって建物の入り口(玄関口)までを記すように今はなっています。
【各種施設までの距離または所要時間】
道路の距離は、物件と各種施設の起点と着点を明示し表示する事。徒歩での所要時間は駅までの距離と同じ考え方となります。(80ⅿまでを徒歩1分)
【面積】
土地の面積はメートル法で表示し、1㎡未満の数値は切り捨て表示をする事が出来る。また、建物の面積は延べ面積を表示し、車庫や地下室などの面積を含む場合は、その旨と面積も表示する事。
【設備・施設等】
水道または公営水道・施設水道もしくは井戸など、別の表示をすること。また、ガスは都市ガスもしくはLPガス(プロパンガス)などの表示をすること。
【物件の形質】
居室として認められない納戸(なんど)、その他の部分については、納戸と明示し、地目は登記情報に記載された表示をする事。(現況地目と異なる場合は現況の地目を併記する)またリフォームまたは改築を表示する場合は、リフォーム内容や時期を明示すること。
【写真】
写真は取引するものの写真を表示すること。ただし、未完成の建物の場合は、一定の要件を満たしている完成予想図などであれば表示することが出来る。
【生活関連施設】
学校や病院、官公署、公園などの生活関連施設は、原則として現在利用できるもので物件までの道路距離・施設名称(公立学校及び官公署の場合パンフレットを除き省略可)も明示する必要がある。
不動産の広告では、特定の表現に対して制限が定められています。曖昧な表現を無くすことで「おとり広告」になる事を防ぐ意味や、誤解を招いてトラブルに発展しない事などが目的だと思います。
新築
建築後1年未満で誰も居住したことがない物件のこと。未入居でも1年を経過した以降は新築物件とは表記できません。
DK(ダイニングキッチン)
1室に台所と食堂の機能が併存している部屋のこと。DKの表示にするためには1部屋の場合4,5帖以上、2部屋以上の場合6帖以上の広さが必要(いずれも満たない場合の表記は『DK』ではなく『K』となります)
LDK(リビングダイニングキッチン)
1室に居間と台所と食堂の機能が共存している部屋のこと。LDKの表示にするためには1部屋の場合8帖以上、2部屋以上の場合10帖以上の広さが必要(満たない場合は、上記の基準に従い『DK』となります)
また、広告における表現では、以下の特定用語も条件を満たさない限り使用禁止となってます。条件とは、表示する内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料がある場合とされます。
「完全」「完璧」「絶対」「万全」「最高」「日本一」「業界一」「超」「当社だけ」「他に類を見ない」「抜群」「お買い得」「掘出し」「格安」「破格」「激安」
これらは、営業する立場としては使いたい便利なパワーワードですが、一般的な根拠に欠け個人差による部分が大きい事、業者側からの一方的に購買意欲を煽る言葉であるとか、曖昧である事などが理由になってきます。食品や日用品と違って、一般に不動産は高額商品とされます。賃貸であっても長期間家賃を払い続ける事を考えれば高額の部類に数えられます。なので表現に制限が掛かっていると言えます。ほかにも
「明るい」「広い」「便利」「陽当たり良好」「充実」「綺麗」「新しい」
などの言葉も、その言葉単体では曖昧な表現(人によって見え方や感じ方に差が生じる可能性が高い)と言えます。前後に根拠になる表現が用いられることで使える場合もあります。(例:主要採光面のベランダが南側を向いており、その南面には道路があり目の前に障害となる建物もない為、日が良く当たり室内が明るい等)
※根拠になる表現を付け加えた場合、まわりくどい表現となり逆に分かりにくい気もするのであまり広告でこういった言葉を使う事はないのかもしれません。
と言ったわけで、不動産の広告表現は少し独特な言い回しが多くなっています。普段何気なく見ているインターネットの掲載物件や物件資料。こういった表示内容や表現なんかに着目して見てみるのも新たな発見があって面白いかもしれませんね。