部屋探しには条件が付き物です。「エリア(場所)」「間取り」「予算(毎月の賃料+初期費用)」「入居時期」「こだわりの条件」などなど。
一例として
・「中心地」で「1K~1LDK」「家賃5~6万」「今月中入居」
・「城南」で「2LDK」「家賃6万前後」「夏頃までには」
・「余戸駅近く」で「3部屋くらい」「家賃は相場で」「いつでもOK」
などなど。
3つ例をあげました。3例ともよく出てきそうな条件。実際にお客様からお聞きした条件だったりします。条件を聞くと営業担当者それに合った条件で物件を探します。となるわけですが・・・
ちょっと待った!
実はこの3例とも、このくらいの情報では物件探しが実際には出来ないのです。出来ないというと極端ですが情報がまだ不十分なのです。こういった状況で「多分こんな感じかな~」って物件をいくつか探して資料をお見せしても「う~ん、ちょっと違うんだよな~」ってなってしまう可能性が大なんです。
この話を聞いて「それ分かる!」って思った方は、物件探しをネットでしていてもいまいちピンとくる物件に出会えてないのかもしれません。そこで、僕たちがお客様にヒアリングをしていくのが、このお聞きした条件をもうちょっと深堀していく作業になります。
イメージとしては、
「なぜその条件なのか?」
を伝える事
「あ~なるほど。だからこの条件なんですね?」
って納得性がある事。
その理由が分かって、
「だから〇万円以内なんです。」
「この地区が良いんです。」
って言う事がお互い(お客様と担当営業の間で)正しく共有できているとお部屋探しがスムーズに進みますし、「あ~、この物件良いかも」とか「もっとこんな条件で考えてみませんか?」など噛み合ったラリーが出来ます。
そんなの当り前じゃないの?と思う方もいらっしゃるでしょうけれど、これが実は結構、いや、相当難しい。お客様よりも不動産会社の営業やってる人の方が大きくうなずきそうな話。
それを聞き出すのが営業の仕事でしょ!った思われるでしょう。はい、その通り。もうまったくその通りなんです。
いったい何を言いたいのかちょっと話が分かりにくいかもしれないので、「なぜその条件で探しているの?」が加わった条件の例を列記してみます。
【エリア(場所)】編
●その1「職場が大手町の〇〇なんです。通勤手段が徒歩か自転車か電車(バス)いずれかになると思うのですが、残業があって帰宅時間も遅かったりするのでなるべく近い方が、出来れば徒歩圏内が良い」
解説※1職場の場所がエリアの根拠になっているので物件が絞りやすい。
解説※2徒歩で通いたいのか?電車使うのかによって探す物件が大きく変わる
●その2「〇〇小学校に子供が通っているので校区は変えたくない。校区外の申請など確認してみたのだが受け入れが難しそうだった」
解説※1学校区内という時点で住所が制限されるのでエリアが固まる。
●その3「同棲で一緒に住むことになるのだがお互いの職場の場所が全然違う。彼氏は車で空港通りの会社に通勤予定。彼女は東温市の病院に伊予鉄道の横河原線の電車で通う事になる。二人にとって都合の良さそうな場所。松山市駅から久米駅の間の沿線付近がちょうど中間点になりそうだ。でも、物件の条件もこだわりたい。駐車場も2台置きたい。だから多少沿線から離れたとしても大丈夫」
解説※1双方の職場の通勤方法が分かると営業は提案がしやすい
解説※2場所が第1優先ではなさそうだ。いい条件の物件がない場合少しエリアを広げていくことになる。ただし電車利用が毎日の事なら駅から離れすぎる物件は選ばないようにアドバイスしてあげたい。
【間取り】編
●その1「ずっと家族4人暮らしだったんだが、上の子が就職して県外に行ってしまってこの度下の子も就職が決まって家を出ていく事になった。今は4DKの間取りなのだが部屋を持て余してしまうし家賃を考えても2DKくらいの間取りで十分なので引越しを考えている」
解説※1今の4DKから2DKの間取りに移る理由がはっきりしている(部屋数がそんなに必要ないという事)ので間取りを絞って物件が探せる。その分、エリアや家賃などの条件に合う物件探しは迷いが少ない。
●その2「今ままでは一人暮らしだったのでワンルームで十分だったのだが、同棲を考えていて二人で入居する間取りを探したい。多分2DK~2LDKくらいになるんだろが、二人の中で出来たらカウンターキッチンが良くて、リビングにはダイニングテーブルやソファーとか置きたいね。って話をしている。家具や家電などは一部はワンルームの物を持っていくけれどある程度は新たに買うつもりである」
解説※1間取りが2DK~2DLKくらいというのはぼんやり浮かんでいただろうと思われるが、ソファーやダイニングテーブルを置く、またカウンターキッチンを希望となれば2LDKの間取を主に紹介をする事になる。ただ、カウンターキッチンの要望はとても多いが、こだわり過ぎると理想に一番近いお部屋を見逃してしまう可能性も高い。(家賃や場所は条件に合ってるのに間取が・・・ってなってしまうケース)その点が注意点。
解説※2間取りが2DKや2LDKの部屋探しの場合、1LDKや3DKにも広げていく場合もあります。この辺りは優先事項が間取りなのか?場所なのか?家賃なのか?築年数や設備に拘るのか?によっても変わってきます。傾向として、先々の事を考えすぎてしまうケースがあります。将来設計はとても大事ですが環境の変化を読み過ぎてしまうと好ましい間取りは定まりません。
【予算】編
●その1「会社から家賃補助が〇〇円出るようになっています。ただし上限が決まっている。共益費や駐車場料金は100%個人負担。その条件内で探したい。上限を超えた分は全額個人負担なのでなるべくなら上限を超えたくはない。」
解説※1会社からの家賃補助の話も出てくる話です。この規定が正しく分かっているか、曖昧なのかによって話は大きく変わってきます。場合によっては規定上NGな物件なども出てきます。予算が決まっていると物件探しは各段にしやすくなります。(妥協しやすくなる)
●その2「今の家賃が駐車場などを合わせて7万円くらい支払っている。将来的にお家の購入も考えているので毎月の固定費を見直したいと思っている。お部屋の広さは変えられないが場所だったり物件の築年数などはある程度妥協できる。月々の固定費をどれだけ下げられるのかが重要」
解説※1家賃を今よりも下げたい。というのはとても多い要望です。家賃が下がるとなると何かの条件が悪くなると言えますが、今のお部屋の入居が長いんです、っていう方の場合そもそも今の家賃が割高である可能性もあります。ただ、引越しをするという事は、今の部屋を退去する際のの清掃費など、新しい部屋の契約に関する費用、引越しに関する費用などが負担になります。家賃が例えば今と5,000円未満くらいの違いでは本来の目的を果たせない可能性があります。固定費を下げたいという狙いであれば1万円以上下げるなど思い切った決断が求められます。
いくつか例を出しましたが、ごくごく一部の例です。こういった条件の裏に隠れている事情・状況などもお話の中で出てくると営業担当者も理解が出来て物件が探しやすくなります。そして、それらの詳しい条件を会話の中で引き出していく事が、営業にとって一番求められる事だと言えます。
ちょっと話は横にそれますが、芸能人の有吉さんが以前テレビでこんな事を仰っていました。「部屋探しが苦手で。お店に行って条件を聞かれるんだけど、そもそも自分が人見知りだから、初対面の人にいきなり自分の伝えたいことをちゃんと言えなくって、いつも適当な条件を言ってしまう。結果、希望にはほど遠い物件で契約することになっちゃって困る」といったニュアンスの話でした。
それを聞いて、初対面なのに結構踏み込んだ話をしなくてはいけない。という事がいかに難しい事なのかを考えました。その上で、お客様の中で条件が定まっていない事も多々あります。聞かれたから答えたんだけどその条件で拘っているわけでもない。なんて事も。
かといって、営業担当者がお客様に質問責めをするようになっちゃってもそれも本末転倒。コミュニケーションがとても大事なんですね。
POINTは、条件を聞いた人が「あ~、なるほどね」って納得できるような条件が伝わる事。これが上手なお部屋探しのコツです。お客様にそれを強いるわけにはいかないので、そこは頑張れ!営業担当者!!